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Core2Duoノートレビュー 's review
(期待通り)
『「べき乗則」といわれても、何のことだかピンとこない文系人間からしてみれば、本書のタイトルを一瞥しただけでは、歴史を数理で語ろうとする、数学・物理学者の浅はかな試みに見える。
しかし、読み進めていけば行くほど、単にランダムにおこる出来事の多くに「べき乗則」が当てはまること知り驚きを覚える。「大きな変化は稀に、小さな変化は頻繁に」は、感覚的にも納得しやすい。これこそが「べき乗則」なんだ。
人類の歴史もそんなものかもしれない。人間だって、宇宙の遠くから見てみれば、ランダムに動く砂粒のようなものだもの。砂山が時折雪崩を起こすように、人間の集団も時折ドッカーンと無茶をする。
本書が高く評価される点は、数理を重んじて人文科学を軽んじているわけではないこと。むしろ、そうならないよう、十分に配慮された記述がなされているので、違和感なく読み進められる。

あともう一点のメリットは、東海大地震が近いうちに必ずくると思わなくなったことです。』


(今、パラダイムの変革が起こっています)
『”地震予知は可能か”、”生物の大量絶滅はなぜ起こるのか”など、
多くの謎の背後に普遍的に存在する構造=「べき乗則」がテーマで、
現在進行形のパラダイムの変革が分かりやすく書かれた好著です。

これまでの物理法則は時間に対して対称的であるため、
1つの事象がある時はわずかな変化を起こし、ある時は大激変を起こす、
というような現象を説明することが困難でしたが、
”時間性”を取り込みうる非平衡統計物理学の登場によって、
現実世界にあまねく存在する非常にシンプルな法則が明らかにされています。

「べき乗則」の射程は非常に広く、いわゆる自然現象の他に、
所得や株価などの経済現象、戦争などの歴史的事象などさまざまな人間の活動にも認められ、
人間が微視的だけでなく巨視的にも自然法則に従うという事実は非常に興味深いと思います。
この分野のますますの発展に期待したいです。




(複雑系??)
『本書は、現実世界の様々な場面で表れる「べき乗則」に従う現象について、どう解釈すればいいのか示唆を与えてくれる。
いわゆる、複雑系、力学系の理論についての本だが、べき乗則について本書ほど丁寧に触れられているものは類書には無い。
例としてあげられる現象それぞれもエピソードとしておもしろかったし、科学の考え方そのものについての知見も多く含まれていた。

ただ、章が多いために、それぞれの内容が薄くなり、結構重複していているのが少し気になった。結局、歴史を読み解くためのツールとして、本書で言う歴史物理学がどの程度有用であり、どこまでを読み解くことができるのかについては深く掘り下げておらず、ほとんど触れずじまいだった気がする。

複雑系の概念についての深い理解とストーリー性については、類書「複雑系―科学革命の震源地・サンタフェ研究所の天才たち」のほうが、数段良かったかと。』


(べき乗則が最もイメージしやすい本)
『邦訳タイトルが誤解を生む恐れがありますが、
本書はべき乗則を様々な事象によってイメージし易くした本です。

複雑系理論ではとにかくべき乗則が出てきますが、
なぜべき乗則なのかという点についてはあまり触れていない本が少なくありません。
本書はとにかくべき乗則を読者に理解してもらうことに専念しています。
また、自然科学を専門にしていない人でもべき乗則が理解できるようになっています。


(「自己組織化臨界」の一例 "砂時計" を見る目が変わる本)
『【「歴史の方程式―科学は大事件を予知できるか」の改題・文庫化。レビューを再掲(一部 改変)】

この世の中の事象には、砂山の崩れ方と似たようなモノに溢れているんだなぁ、と再認識させられる本です。(その一例が地震です、それを大胆にも歴史学にも展開しようという試みです) 要するに、砂山の崩れ方は【砂山が出来るまでの歴史】を引きずった【砂山の構造自身】に由来するのであって、砂山を崩すキッカケを与えた砂粒の個性によるものではない、ということです。そして一旦崩れ始めたら、どこまで崩れるか(崩れ方の規模)は「砂山自身にも分からない」というわけです。しかしながら、砂山の崩れる規模と頻度は「べき乗則」を満たす、というわけです。(個々の崩れ方は論じられないが、崩れ方の集合全体は、何かしら満たす法則がある。これは"自己組織化臨界"の特徴です)

このような「地震の学問」が「学問の地震」(Kuhn流"科学革命の構造")にも応用が効くよ、という記述は非常に痛快でした。新実験/新理論によって知識が蓄積していくと、あたかも砂山のように、どこかで解釈に無理が生じるところが必ず生じてきて、その無理(緊張)を解消するために、科学体系の再構成が起きる、その再構成の規模は前もって予測のつくものではない、という記述には唸らされました。

こうして、世の中のありとあらゆる事象の見方が変わる本です。("砂時計の砂山"(自己組織化臨界)と似たようなモノ・コトが結構あるんだなぁ、と...)』


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